iPhoneのショートカットを活用した簡易レジの作成

学祭でレジのようなものを導入したい…

先日大学で学祭があり、友人の運営するサークルの出店を手伝ってきました。

企画名は『アジアンミルクティー』。ドリンクに果物やシロップ等を入れたカクテルのようなものを屋台で販売しました。

 

この企画に決めるにあたって懸念されたのが回転効率。ドリンクとシロップの組み合わせをお客さんの方で選んでもらう必要があり、注文フローはよくある屋台に比べて複雑です。昨年の屋台はもっとシンプルで注文の種類も4種類ほどしかなかったのですが、今回は18通りの組み合わせが考えられました。同様に紙とペンで注文を対応していては、スピードを出してオーダーミスが多発すること間違いなしです(前回ですらめっちゃミスが出ました)

 

というわけで何とかコンビニのレジ(POS)のように注文の記録が残せるものや、ハンバーガーショップにあるような注文内容が表示されるようなもの(できればスマホからリアルタイムで閲覧できるものが望ましい)を用意できないかなと考えました。

 

今回紹介するのはiPhoneのショートカット機能を使ってlineなどのチャットツールでPOSを代用する方法です。プログラミングの知識等も要らないのでかなり楽に使えます。

 

学祭や即売会などイベントのときにだけものを売ったりする機会の参考になれば幸いです。商品にオプションを設定したいような場合など、注文フローが複雑になる場合はかなり楽になると思います(スタバとかクレープ屋みたいな感じ)

 

 

そもそもレジを作ろうと思ったらショートカット以外にどんな方法が考えられるか?

本題に入る前に自分が模索する中で見かけたその他の方法と自分がやらなかった理由を上げておきます。

 

レジアプリの導入

・種類が多くてどれがいいのかイマイチわからない。

・あくまで注文を受ける人間と作る人間で共有できればいいのだが、そこに特化したアプリが見つからなかった。(拡張性は高そうなのでそこを面倒だなと思ったのですが……)

・会員登録とか面倒くさい

※対お客さんのツールとしてだけならアリだと思います。キャッシュレス決済等にも対応しているのでかなり本格的なお店に近い対応もしやすくなるんじゃないでしょうか?

 

自力で組む

・工業系の高校や工学系の大学の解説記事で見かけたやつ。これができるならやってる()

 

ショートカット機能の使用感

 

iPhoneならデフォルトで入ってるはず……

 

iPhone上での挙動(実際には注文したドリンク名とシロップ名が入っています)

 

iPhoneのショートカットで作成。タップすると起動します。
ホーム画面に直接置いておくこともできます。

 

ドリンクを選択(今回はドリンク2を選択)

 

シロップを選択(今回はシロップ3を選択)

 

メッセージのプレビューが表示されるのでSendを選択。
注文管理番号は乱数で振ってます。
今回の宛先は事前に設定した注文管理というlineグループ。
この後注文を続行するか聞かれます。
はいを選択すればこのまま注文を続行できます。
途中画面の関係ないところをタップしてもショートカットを中断できます。

 

送信先のグループ
当日は注文を渡したらスタンプで反応して注文が完了したことがわかるようにしていました

 

メッセージの検索機能でいくつ注文が入ったか確認できます。
今回は注文管理で検索。
取り消された注文などはメッセージ送信取り消し機能などで対応。
グループ参加前のメッセージなどもカウントされるので留意しておきましょう。

 

メリット

・lineのグループにさえ入っていれば誰でも注文が見られる。

スマホで見れるので狭い空間でも確認しやすい

・時間の記録、注文番号が振ってあるためオーダーミスが起こりにくい

・リアクション機能で対応したものにはチェックがつけられる

・当日の売り上げなどを確認したいときにlineのメッセージ検索機能を使えば当日注文された数などが後ほどわかりやすい。(売上報告めっちゃ楽だった……)

・iPoneにデフォルトで入っているのでUIはかなりいい(自作する場合はUIも考える必要あり)

 

デメリット

・通知がめっちゃたまる

・通信料がかかる、ついでにスマホの充電もそこそこ使う。

・1個ずつしか注文を受けられない(改良できなくもない。要検討)

iPhoneのショートカット機能で作っているのでiPhoneユーザー以外は採用できない?(なんかアンドロイド用にもショートカットあるみたいですが共有できない? 詳しい方教えてください)

 

初日に違算金(100円と50円の受け取りミス)や、送信できていなかったなどのミスはありましたが、基本的には大きな事故もなく終えることができました。lineを見れば注文自体の確認は誰でもできるので、注文を受けた当人に聞かないと正確な注文内容がわからないといった事故が無かったのが営業中特に大きかったです。

 

また、記録がしっかり残っているので、営業終了後の会計処理が段違いに楽でした。紙のメモだと数え間違いなのか、それとも注文の取り消し忘れ、書き忘れなのかわからないみたいなことが発生すると思うのですが、少なくともlineの記録に残っている注文は、注文を受けた人間と渡した人間(作った人間)の2~3回のチェックが入っているので実際に販売した数と記録のズレはまず起こりません。

 

ですので、ズレているとすれば考えられる原因は数え間違いや金銭授受のミスなどに絞りこむことができます。おかげで初日に起こった50円のズレも金銭授受のミスとして処理することができました。

 

ショートカットの中見

今回使用しているショートカット(リンク先で追加して貰えれば使えます) 

https://www.icloud.com/shortcuts/388076ecde7f45d186a081a45771701e

(lineグループの設定方法は※2で後述)

 

乱数で注文管理番号を振っています。下の検索バーで乱数で検索掛けると見つかります。

 

メニューから選択機能でどのドリンクにするかを設定しています。
水色のボックスに書かれた内容が選択肢として表示され、
黄色のボックス内の文章がlineのメッセージに採用されます。

 

変数「飲み物」がこの後のlineのメッセージ内に採用される変数で、
メニューの結果が先ほどの黄色いボックス内に書かれたテキストです。
シロップもドリンクの場合と同様です。

 

ドリンクと同じ部分は省略。
""内がlineに送信されるメッセージです。
メッセージ部分に獲得した変数を埋め込んであります。

 

注文を続行するかどうかをメニューから選択で設定してあります。

 

何が起こっているのか簡単に説明しておくと、注文管理番号(変数)は乱数で獲得、「メニューから選択」機能でドリンクという変数とシロップという変数を獲得。(※1)

lineのメッセージ(※2)の中にここまで獲得した3つの変数(注文管理番号、ドリンク、シロップ)を出力させて送信、最後にもう一度メニューからの選択機能で注文を続行するかを選択。「はい」を選んだ場合はもう一度このショートカットがスタートするようになっています。

 

※1 各選択項目の下に必ずテキストを入れてください(図表1)このテキストが獲得される変数になります。もしテキストを設置しない場合、iPoneの中では

 

どれにする?(メニューから選択)→ドリンク1を選んだね→じゃあ『無』を獲得して次の質問に移るね!

 

って感じの処理が行われています。なので必ず選んだら次に何をするのかを直後に置いてあげてください。

 

[図表1]

 

※2 注意点としてlineグループの項目部分を自分の送りたいlineグループに設定し直してもらう必要があります。(図表2)検索バーでlineと入力してもらうと(line)メッセージを送信の項目が出てくると思うのでそこから注文管理用のグループ等を選択してください。もしサジェストされなければ、line側で適当なメッセージを入れてあげれば表示されるようになるはずです。

 

[図表2]
当初はスプレッドシートに送れないかなとかも考えてたけど難しそうです。
できたら教えてください

まとめ

選択肢がもっと多い場合であっても今回紹介したようにメニューから選択、変数、テキストの応用で対応できるはずです。もし気になった方がいたらショートカット機能の考え方や組み方を専門に解説している動画や記事がヒットすると思うので、そちらを参考にしてみてください。長くなる&応用の幅が広いので本稿では最低限の紹介で留めます。

 

たとえば、自分たちの場合は金額を一律に設定していたため使用しませんでしたが、変数の考え方を使えば金額の設定等も可能です。メニューから選択の各項目の下にテキストと変数「金額」を設定。そこで獲得した数字を全て合算すれば金額を出すこともできるわけです。

 

ショートカット機能の応用的な使い方はエクセルやスプレッドシートのマクロほどインターネット上に落ちている情報が少ないなと感じたため本稿を投稿しました。質問やもっと簡単にできる、こんなこともできるよーというのがありましたらコメントで教えてもらえると嬉しいです。

 

おすすめの検索ワード:ショートカット変数、メニューから選択